善意に傷つくこともある
「お子様の調子はどうですか?」
会ったこともなく専門家でもない方から、こんな言葉をかけられて、深く傷ついている43歳である。
その人に悪意がないのはわかっているし、こちらも子の発達障害や自閉症をここに公表しているようなものですから、このような質問に答える責任といったものがあるのかもしれない。
だが、答えることに意味があるか。そして、どう答えるべきか。これを考えると酷く落ち込む。
閉じられた場所で聞いたので、直接答えるべきなのかもしれないが、自分の中に羨望や憎悪と言ったドロドロとしたものが湧き上がってきて、冷静さを失いかけるので、申し訳ないけれど、このパブリックなところに書くことにした次第。
こんなことは現実世界でも頻繁に起こる。本当に本人様に悪意など無く、むしろ善意に満ち溢れているのだ。しかし、逆にそれが、ストレスになる。善意の声をかけていただいているのに、正直言ってそれに答えたくないと思っている自分はダメなんじゃないかというような。
発達障害や自閉症、とくに判定のボーダーラインにいる子は、周囲から見て障害がわかりにくい。自分は、あまりセンスのよい説明ではないと思いながらも、誰もが理解しやすい身体障害と比較する。つまり、片腕のない人は身体障害者である。本来は備わっているはずの身体機能が一部損なわれている。そして、ヒトの場合、腕が新たに生えてくることはない。その人をサポートするために、物を持ってあげることが出来る。また、義手を装着するという手もある。
翻って発達障害。自分も家族としての当事者であるが、専門家ではないので正確かどうかはわからないけれど、発達障害や自閉症は、脳の機能障害だといわれている。つまり脳の一部の機能が失われているまたは不全であるということ。基本的に脳細胞は生まれてから無くなっていくばかりなので、本来の形に再生するものではない(といわれている)。だから治らないのだ。というか病気ではないわけで「治る/治らない」という概念自体が存在しない。しかし腕のないヒトへの支援と同じように、周囲のものからの支援は可能。私たち家族は、次男の脳の中で失われた機能を補完してやろうとしているのだ。残念ながら義手や義足のような道具は今のところ存在しない。
つまり何に引っかかって、何が言いたいのかというと、発達障害児であり自閉症児であるうちの次男君の脳から失われた一部の機能に関して「最近の調子」なんてものは存在するものではないということだ。当事者でなければ、このような知識がないのも理解している。質問者は、ただ気になったので軽く書き添えただけなのだろう。だから、コチラもあっけらかんと「調子いいですよ~♪」と、答えればよかったのかもしれないが、それにどれほどの意味があるだろうと考えて振り出しに戻る(笑)。それに僕はそれほど強い人ではない。みんな似たり寄ったりだとも思うけど。
« いろいろ一年これからの一年 | トップページ | 減量は順調 »
「ゆっくりいきましょ」カテゴリの記事
- 慌てずゆっくりじっくり行きましょ(2018.03.05)
- 次男の戦略(2017.09.05)
- 関わり続けること(2017.05.17)
- 嗤う人たち(2017.05.11)
- 典型的な親のエゴ(2017.04.13)
「発達障害・自閉症」カテゴリの記事
- 永遠のパズル(2018.11.29)
- 雲のカタチと踏切絶対テンポ感(2018.11.27)
- こっそり次男の参観日(2018.11.17)
- 「やればできる」という実感こそが大切なのね(2018.11.15)
- これからの療育(2018.10.12)
コメント